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​■コラム:NDロードスター用エアロ誕生秘話

NDロードススターは、正直発売から時期は経っていましたが、現役のロードスターだった事で購入。例えば、人から評判や乗り味を聞いていたわけでもなく、エアロ屋として人気の高いという位置づけで長く付き合っていけそう...そんな購入理由が正直な所です。ただ実際横浜のディーラー様で納車式を終えていざ発進、走行と乗り始めましたが慣れ始めてからなんとも言えない楽しさと心地よさと軽快さとレスポンス、コーナリングが楽しく一気に夢中になりました。

NDロードスターは、記憶上NAしかあまり知らなかったのでNDは歴代のロードスターと比較しても物凄く現代的で斬新でワイド感があり、特にフェンダーの膨らみから繋がるボディラインは芸術レベルだとの印象を受けました。

 

正直納車からほけーと見とれてしまうそんな美しい造形でした。仕事としてエアロのデザインを考えるときにウチのコンセプトよりもこの車の使用目的や皆さんの利用の仕方というものをビジネス的客観視してしまうとこが普段でした。魅了してやまない車に悩みました。別の言い方をすれば惚れてしまった状態であり、その容姿と美しさにデレデレ状態でしたので、この形を変える事に躊躇しました。

 

ふと思ったことは制作を急がず、この車をもっと知ろう中身を知り、コンセプトを考えようと決めました。オープンカーである事を知る、FRである事を知る、フロントミッドシップである事を知る、軽さが活かした良さを知る。そんな風にいくつか項目を考えて峠、山、海、桜、ミーティング、ツーリングとを追い求めて走り回りました。その間、小さなメーカーである事は二の次にして純粋に一人のオーナーとして楽しみました。ETC装着から始まり次にホイールをインチアップしたり、話題の新規タイヤをグリップ違いで試したり、足回りを変えたり、少しずつロードスターもカスタムされた状態で走りました。たくさんのオーナーさんとも出会い、たくさんヤエ―と呼ばれる挨拶もしたりと楽しみ抜けた半年でした。そんなある時にいよいよ初挑戦になった高速道路走行でコンセプトになる課題と出会うことになります。

これまで速度80キロまで最高の至福だと走りながら自然と楽しさから笑みがあふれてましたが、高速走行時にフラフラ~と車線変更では怖いくらいに不安定さを感じました。

屋根がない。剛性感がない、これまでの車と違う。あんなに楽しかった車がこうも変わるなんてとショックでした。

サービスエリアでじっと考えてました。メモを出して気が付いたことを全部書き出しました。帰宅してまた考えてました。

結論づいたのは、不安定さは高い揚力がかかる事から、フラフラのままになるのは剛性の弱さか?などそこからインターネットを使いこれまでにどんなパーツが出ているのかを調べてみました。そうすると、やはりこのフラフラを何とかしたいという修繕の位置づけの部品まで出ている。揚力を抑えるために特化したパーツは目には留まらなかったので、まずはロードスターの部品でエアロ屋ができることってなんだと考え、それは空力を利用した形状にしたパーツを作り効果を出すこと、そのためにカッコよきのみではなく、風を司る形を作る事をやらないといけない。それを盛り込んだ形にデザインをする。コンセプトが決まれば、あとはビジネス上の考えが足されます。車検に通る保安基準で定められた範囲内で安全に少しだけ効果があればよいという飲料で例えるなら果汁

3パーセントみたいなのじゃダメ。ちゃんと100パーセントか低くても80パーセント以上体感できるようなものにしないといけない。車検に通るイコールディーラー様へも安心していけるものであるために後付けカナードなどは使わないで揚力を抑える考え方でいくようにデザインを考えようそう決めデザインをスタートさせた。

機能のみを追求するとストリートカーでは、成し得ない形状になる。ストリートカーは、事故を起こした場合も含め歩行者を死傷させてはいけない形状にしないといけないと私は考えてます。そのため先にも書きましたが本来の表面に突起した状態を避けるためカナードを使わずに前輪付近に溜まる圧力のかかる風を抜いてやるために負圧を生む渦を持った風を作る必要があり、カナードのように外観上でそれを行わない状態でどうするか?その悩みを考えながらマツダのホームページを眺めていました。「マイナスの

造形」についての解説が目に飛び込みひらめきました。

 

窪まさせてそこに風を引き込み「跳ね返りの反動を経て風を巻かせればよい!」その理屈はフロント正面からホイールセンターへ向かい一番近くなる位置に型で起こすエアロとしてこれ以上窪ませると型が引っ掛かり抜けなくなるギリギリまで内側を削り表面上は見えない深い窪みを設けました。前輪付近の揚力の抜きはこれでやろう。

 

次にロードスター特有のバンパーデザインでもあるフロントバンパーの下方へのつぼみのデザインが正面から見てタイヤを3分の1以上露出させてますのでここへの風が当たりにくいように、またここから揚力の元となる風の侵入を減らそう。その考えで前面から見たときにタイヤを覆うようにバンパー下方を張りだたせてタイヤを隠しました。ここまでで2段階で揚力を抑える考えを入れてます。

次はいよいよダウンフォース。リヤのダウンフォースは比較的にリヤウイングで発生は容易ですがフロントはなかなか難しく結構果汁3パーセント的な存在になりがちですので、今回はGTカーそのものの形状を採用してタイヤ前に2連ずつのスロープを跳ね上げでその仕切りをハッキリと作り風がベンチュリ―効果を起こしその気圧差から地面に吸い寄せられるように車体が近づくように投入しようと考えました。

 

この考えは、過去にアペックス社で自社参戦時に自社のトヨタMR-Sでしたが自車のレースカー他のチームのマシンの形状から知識を得て、また参戦年の殆どがウエットコンディションでワンシーズンを経過しシーズンを経過しても中々セッティングに苦しんだ事などを思いだし、その時の確実な方法として現代のマシンのやり方にも着目して形状を採用してます。

通常であればエアロ屋が商売として販売するならば、フロントのエアロ、アンダーパネル、横サイドのタイヤカバーと各部のパーツとして制作して販売もできましたが、なにせ後出しでもありましたのでこの3つの要素を備えもあったフルバンパーとして制作しました。

フロントはこれで十分機能する形状にしましたから、お次はリヤタイヤ付近の揚力抜き。その仕事はサイドステップでやることに。方法はサイドステップのリヤタイヤ手前に縦に出っ張りを設け、ここに風を当て巻き風を送る作戦です。

ただし、再度ステップやその上のドア下方エリアは風がゆっくりと進む状態になる場所ですのでその風に勢いをつけないといけない課題があり、その改善に袋状まではいきませんがプールにあるスライダーのように包み込みその流線形状から風が流れやすくし、当初の末端で巻いた風にも引かれ加速するようにデザインしてます。

これで前後輪付近に溜まる揚力の低減を行う仕掛けが揃いましたので、肝心なリヤタイヤ押しつけへのダウンフォース獲得のためにリヤウイングを設置しそのダウンフォース発生を促す形状として飛行機の翼型を上下逆にした本格的な形状をストリート用に丸くして装着。このフラップ部分は簡単な形状にしましたが、穴位置を選択することで風の当たりはじめを変更しダウンフォース力を変更できるようにしました。

リヤウイング自体は、純正にもあるようなアーチ形状を採用する事にし、ウイング扱いとして特別な条件がつきまとうGTウイングではなく、ボディから20ミリ以上離れず簡易に車検を受けれる形状にする事を重視。

 

またこの形状の方が、面でトランク装着であることからフラップで得た下への力を余すことなく車体に伝えれる事のメリットをとりました。

 

ロードスターが一世代ごとにロングライフであり、エアロの流行も一巡するだろうと予測。また個人的に過去に90年代の初期GTレースカーそのレプリカとも言えるコンプリートカーがストリートで存在していた事、20代にそのコンプリートカーに同乗し走行を体験した事インパクトが記憶に強く、ストリートで成し遂げられる最高峰を作りたい、その良さをロードスターにフィードバックしたい。ストリートとサーキットに特化した仕様のボディ形状に変更できるエアロを作りたかった事。

 

そして、レースカーが見本に考えられる空力の考え方を追求した時にいまの流行が足りなくも間違えでもなんでもないですが、日本最高峰のGTレースで一番レギュレーション的に空力面に制限が少なくバンバン空力優先に振っていた時代の形状に近づけることで最高の状態で保安基準に沿った範囲内でレースカーではないけど、性能の高いストリートマシンをエアロ屋として作りたい気持ちをすべて投入しました。

果汁3パーセントでない高機能なエアロパーツの誕生です。

これまでオープンカーは、空力的には不利だと言われた面もあります。ささやかれた理由はオープン時にまたは幌を閉めていても前から流れてくる風が乱流し、その乱流では空力パーツが機能しにくいから、方法としてはリヤウイングはその屋根の上を通る風をとらえた方が良いという話が密かにささやかれてました。

 

このため、低い位置ではリヤウイングは効果をなさないとも信じ込まれてましたが、実際は全く使えない風ではなく使えます。乱れているなら整流する考えです。

もともとのクーペと比較すればそれは風を十分つかむには同等は無理でしょう。でも実走行からもフラップへの風を当てる位置にもよりますがリヤの安定が出来てますのでしっかりとリヤのダウンフォースを得られる効果はあると思います。

そんなリアウイングですが、じつはリヤスポイラーとしての狙いと役割も付け加えてます。それはトランクからの薄く跳ね上げ整流しつつ、走行中の自車後方に巻く大きな渦の巻きの着地位置を後方にずらす事での自車への引き戻しを抑制する事とここを通過する風がアーチ状を抜ける事での整流効果とウイングの支柱とこのリヤスポイラーを一体化する事での剛性を高め、ウイングで得る力を削られることなく伝えダウンフォースを得るための部品としての本来の役割を果たすようにデザイン、制作しました。それに付け加え肝心な保安基準にあるハイマウントブレーキランプの後方視界5度以内への悲干渉も確保するために造形時に綺麗に跳ね上げつつ高さを見て拘って制作してます。

弊社のNDロードスター用エアロダイナミクスは、見た目だけの第一印象だけでは伝わらないフロントバンパーやサイドステップでのワイド感、低姿勢を立体で考えて整形し起こしそして安全面ではアクティブボンネットセンサーハーネスの移植ができるようにしてあるような形状。最低3つのみのパーツでトータルバランスがとれる安定したキット

になっております。​

​今回のエアロキットは、制作後2023年春に迎えた車両検査(車検)も、神奈川県相模の陸運局にて合格しております。ぜひ、想いと機能が詰まったこのパーツをストリート アンド サーキットで至福の時間を過ごすための特別な一台にお使いいただければと願います。

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